焔ノ宴 第四話 痛








信長は、激しく腰を動かし、咲を壊していった。
咲の頬は涙が伝い、ただ、痛い、と泣き続けた。
だが、その涙もやがて枯れはてていき、
咲の表情にも抵抗することへの諦めが見え始めていた。
「…っ」
と、突然信長…いや、もう灯護なのだろうか…。
灯護は胸を押さえ、ぐらりと花瓶を倒すように倒れた。
倒れたことで灯護のモノはようやく咲から抜かれた。
その衝撃で花瓶は物凄い音をたてて割れた。
咲はただその様子を、呆然と足を開かされたままの体勢で見ていた。
そしてそこへ物音に気付いて慌てて駆け付けた鏡夜と華鏡が現れた。
「ぁ……」
咲は布団に沈んだまま、二人を見ると小さく声を洩らした。
「灯護?!…咲…?」
華鏡は発作を起こして倒れたらしい灯護に慌てて駆け寄り、応急処置をした。
「灯護さんっ…!咲さん!?大丈夫ですか?!」
鏡夜の声を聞いた途端、止まっていた涙がまたボロボロと咲の頬を伝った。
鏡夜はそっと縛られていた手首を解放した。
縛られた所は痣になり、殴られた所は内出血を起こしていた。
下半身は濡れ、ひどい状態だった。
「咲さん…起きれますか…?」
泣きじゃくり、呆然とする咲の体を、鏡夜はゆっくりと起こしてやった。
そして自分が上着に羽織っていた着物を肩にかけてやる。
灯護は心臓発作で青白い顔で布団にぐったりと倒れていた。
だが、華鏡の迅速な処置で何とか心臓も動き、息もしている。
「…咲さん…何があったんですか…?何故灯護さんがこんな…」
「…ぁ……お願いしますっ…っ!灯護さんにも…先生にも何も言わないで下さい…っ」
「何を…」
「何言ってるの?咲?心臓発作まで起こして…それにあんたのその傷…普通じゃないじゃないっ」
華鏡は咲に怒鳴り散らした。
鏡夜が華鏡を止めたが、咲はそれでも鏡夜にすがったまま涙を流し続け、懇願した。
「お願いしますっ……っ」
すがっていた咲は、やがて急に気を失った。
鏡夜はまだ涙を流し、取り乱したままの咲を、ただ抱き締めてやるしかできなかった…。
華鏡がゆっくりと口を開く。
「…咲………意味がわかんないよ…なんなのさ…」
「華鏡……」
鏡夜は、ぽつりと呟いた華鏡に、小さく声をかけた。
「鏡夜、変だと思わないの?!咲が来てから灯護はよく倒れてるっ!」
「…仕方ありませんよ。彼は、咲さんを愛していますから…。」
そう小さく呟いた鏡夜は華鏡を見る。
「愛している者にはあまり苦しそうなところは見せたくないものでしょう。」
「でもっ…!」
「あなただってわかっているはずです。お二人を見ればすぐにわかることでしょう…」
「わからないよっ…っ!」
華鏡は怒鳴り、鏡夜を睨む。
そして涙を流した。
「鏡夜だって咲が好きなんでしょ!?皆…皆…僕から離れていくっ」


華鏡の頬をボロボロと涙が伝った。 鏡夜は、突然泣きだしてしまった華鏡を見て、驚きの表情を見せた。 「華鏡…?」 「僕だってっ…!灯護が好きなのにっ」 華鏡の悲痛な泣き声は、屋敷に響いた。 鏡夜は唖然としていたが、華鏡をそっと抱き、頭を撫でた。 「灯護さんだってあなたを嫌いなわけじゃありませんよ…」 「じゃあ…」 華鏡は小さく呟くと、鏡夜を無理矢理突き放した。 「どうして灯護は咲だけを部屋にいれるの!?どうして僕とは一緒にいてくれないの?!」 「…華鏡。」 鏡夜はパンッと華鏡の頬を叩いた。 華鏡は思わずギロッと鏡夜を見た。 「何するのっ?!」 「…あなたは、また同じ目に合いたいんですか?!…人を愛するのは………」 そう言った鏡夜の瞳は、怒っているというよりも、哀しげな瞳に見えた。 華鏡は、鏡夜の言葉と表情に首を傾げる。 「鏡夜……?同じ目って…」 「覚えていないなら、忘れたままの方が幸せなこともありますよ、華鏡…。」 鏡夜は、そっと華鏡の濡れた頬を手で拭ってやると、叩いた頬を撫でた。 「すみませんでした………」 それだけいうと鏡夜は咲を抱いてその場をあとにしてしまった。 一人残された華鏡はただそこにいることしかできなかった…。 *あとがき* @山南 ども!山南です。今回やっと双子ちゃん挿絵登場です♪ 華鏡は人気もあるようなので描いててとても楽しかったです。 今TOP絵も華鏡ですしね(笑)なにはともあれ、一万打超え! 嬉しいです!有難うございました!まったり更新にもかかわらず たくさんの方においでくださってもらい感謝感激でございます! これからもよろしくお付き合いくださいませ!!! @相模 どうも、こんにちは、小説担当相模です。 第四話、いかがでしたでしょうか?? 双子です。華鏡ちゃん萌え。(ぇ) 本筋を…チラリズムする予定が…ちょっと遅れてしまいました。(死) たぶん次回ではチラリズムされることでしょう。 これからは、一応ストーリー性のある話に展開していく予定。 一万打も越え、また頑張っていきます☆ 次回をお楽しみに。ではではこれにてっ!